フリーランスの請求書は、2023年10月からのインボイス制度と2024年からの電子帳簿保存法改正で、記載項目と保管方法が大きく変わりました。私自身、2023年10月にインボイス登録してから請求書のフォーマットを刷新しました。会計ソフトの請求書発行機能で、インボイス対応の請求書が自動生成されるので、移行は意外とスムーズでした。
国税庁の発表によると、2026年時点で適格請求書発行事業者の登録番号、税率別合計額、消費税額の記載が必須化されています。源泉徴収対象業種では源泉税額の明示も求められます。請求書ソフトを使えば、これらの記載項目が自動で入るので、手書きでの作成は事実上ありえません。
この記事では、請求書の必須記載項目、インボイス対応、源泉徴収の計算、テンプレート、電子化、支払遅延対応を順番にお伝えします。
特に読んでいただきたいのは、これから請求書を発行するフリーランス、インボイス対応の請求書フォーマットを知りたい方、源泉徴収の扱いに不安がある方、請求書の電子化を検討中の方です。
請求書の必須記載項目
2026年時点の請求書必須記載項目を整理します。
請求者情報:氏名または名称、住所、電話番号、適格請求書発行事業者の登録番号(T+13桁)。
請求先情報:取引先の正式名称、部署、担当者名(任意)、住所。
請求書番号:自社で連番管理(YYYYMMDD-001など)。
請求日:請求書の発行日。
請求対象期間:「2026年4月1日〜30日分」など。
業務内容の明細:項目、数量、単価、金額。
税率別の合計:8%対象、10%対象、非課税の3区分。
消費税額:税率別の消費税額。
源泉所得税:対象業種のみ。10.21%(100万円超部分は20.42%)。
請求金額合計:消費税込み、源泉徴収後の入金額。
支払期日:取引先との契約に基づく日付。
振込先:銀行名、支店名、口座種別、口座番号、名義。
これらをすべて満たした請求書を、会計ソフトの請求書発行機能で自動作成するのが王道。
インボイス対応のポイント
インボイス対応の請求書のポイントを整理します。
適格請求書発行事業者の登録番号(T+13桁)の記載が必須。
税率別の合計額(8%対象、10%対象)を分けて記載。
税率別の消費税額を別途記載。
「適格請求書」または「インボイス」の表記は任意(必須ではない)。
非課税取引、課税対象外取引がある場合は明確に区別。
インボイス未登録(免税事業者)の場合、登録番号の記載は不可。経過措置で2026年9月までは仕入税額控除80%、2029年9月までは50%可能。
詳しくはインボイス制度わかりやすく、インボイス登録詳細ガイドで扱っています。
源泉徴収の計算
フリーランスエンジニアの源泉徴収について整理します。
源泉徴収対象業種:原稿料、デザイン料、講演料、コンサルティング料、原稿執筆料など。エンジニアの準委任契約は対象外が多い。
エージェント経由のフリーランスエンジニア案件は、ほとんどが準委任契約で源泉徴収なし。請負契約(成果物納品)の一部は源泉徴収対象。
源泉徴収率:100万円以下の部分は10.21%、100万円超の部分は20.42%。
計算例:報酬110万円(消費税抜き)の場合、源泉徴収額は100万円×10.21% + 10万円×20.42% = 124,520円。実際の入金額は1,210,000円(税込)− 124,520円 = 1,085,480円。
源泉徴収された税金は、確定申告で調整。多く取られすぎていれば還付、少なすぎれば追加納税。
請求書テンプレート
請求書のテンプレート構成を整理します。
ヘッダー:請求書、請求書番号、請求日。
請求者情報(左上):氏名、住所、電話番号、登録番号、振込先。
請求先情報(右上):取引先名、部署、担当者名。
明細表:項目、数量、単価、金額、税率の列。
合計欄:小計、消費税額(税率別)、源泉所得税、請求金額。
備考:支払期日、その他。
会計ソフト(freee、マネーフォワード)の請求書テンプレートを使えば、これらの構成が自動で整います。
無料テンプレートは、Misoca、Square請求書、Money Forward Cloud Invoice、freee Invoiceなどから入手可能。
請求書ソフトの活用
請求書発行を効率化する主要ソフトを整理します。
freee(月額1,180円〜):会計ソフト+請求書発行機能セット。フリーランス向け定番。
マネーフォワード請求書(月額980円〜):マネーフォワードクラウド一式に含まれる。
Misoca(月額500円〜):請求書専用ソフト。シンプルで使いやすい。
board(月額980円〜):見積書、請求書、納品書を統合管理。
Square請求書(無料):個人事業主向け無料プラン。決済機能あり。
会計ソフトと請求書ソフトを統合すると、請求書発行→入金確認→帳簿付けまで一気通貫。月末の経理作業が大幅に効率化されます。
電子請求書の活用
請求書の電子化は、2024年4月の電子帳簿保存法本格運用で重要度UP。
電子請求書のメリット:印刷・郵送コストゼロ、即時送付可能、保存・管理が楽、検索が容易、電子帳簿保存法対応。
PDF送付:会計ソフトでPDF化してメール添付。最も簡単。
電子請求書送付サービス:BtoBプラットフォーム、楽楽明細、Bill One。エンタープライズ向け。
紙請求書の電子保存:スキャナでPDF化して保存。電子帳簿保存法対応。
電子取引のデータは、電子データのまま保存することが必須。プリントアウトして紙保存はNG。
支払遅延対応
請求書の支払いが遅延した場合の対応を整理します。
フリーランス新法(2024年11月施行)により、支払期日は納品から60日以内が義務化。これより遅延すると法律違反。
支払遅延の場合、まず取引先に連絡。「支払いが確認できないが、振込予定はいつか?」と確認。
事務処理ミスなら、その場で対応してもらえる。資金繰り問題なら、支払スケジュールの再交渉。
繰り返し遅延する取引先は、フリーランス・トラブル110番、公正取引委員会、弁護士に相談。
ファクタリング(請求書の現金化)も選択肢。ラボル、OLTAなどで最短60分で現金化可能。
詳しくはラボル使い方ガイド、フリーランス業務委託契約書で扱っています。
請求書の保存
請求書の保存ルールを整理します。
保存期間:青色申告者は7年間、白色申告者は5年間。
保存方法:紙またはデータ。電子取引(メール添付請求書、ダウンロード請求書)は電子データで保存が義務化。
保管場所:紙の場合、月別ファイリング。データの場合、会計ソフトまたはクラウドストレージ。
検索性:日付、取引先、金額で検索できる状態に。
電子帳簿保存法対応の会計ソフトを使えば、要件を自動で満たせます。
請求書発行のスケジュール
請求書発行のスケジュールを整理します。
月末締め:その月の業務分をまとめて月末で締める。
請求書発行日:締め日の翌営業日〜10営業日以内が標準。
支払期日:請求書発行から30〜60日以内(フリーランス新法で60日以内が義務化)。
入金日確認:支払期日の翌日に入金チェック。遅延があれば取引先に連絡。
会計ソフトに「自動定期請求」機能あり。月次の継続案件は、自動で請求書発行設定が可能。
よくある質問
請求書について、よく聞かれる質問にお答えします。
請求書の登録番号は必須?
インボイス登録事業者は必須。未登録は記載不可。
源泉徴収はエンジニアでも適用?
準委任契約は基本的に適用外。請負契約の一部(原稿料、デザイン料)は適用。
請求書ソフトは必須?
会計ソフトの請求書機能で十分。専用ソフトは月額500〜1,000円。
電子請求書は法的に有効?
完全に有効。2024年4月以降は電子保存が義務化されているケース多。
支払期日はどう決める?
取引先との契約に基づく。フリーランス新法で60日以内が義務化。
インボイス未登録だと不利?
取引先が課税事業者なら、消費税分の値引きを求められる可能性。
請求書を電子で送る方法は?
会計ソフトでPDF化してメール添付が最も簡単。
請求書の保存期間は?
青色申告者は7年間、白色申告者は5年間。
消費税は別途記載?
税率別の合計額と消費税額を別途記載するのがインボイス対応。
請求金額の端数処理は?
切り捨てが一般的。契約書で取り決めるのが安全。
最後に
フリーランスの請求書は、インボイス制度と電子帳簿保存法対応で、2023年以降に大きく変わりました。会計ソフト(freee、マネーフォワード)の請求書発行機能を使えば、必須記載項目を満たした請求書が自動作成され、電子保存も自動対応できます。
迷ったら、まず会計ソフトの請求書発行機能を使い始めて、月末締めのリズムを作るのが王道。請求書発行→入金確認→帳簿付けまで一気通貫で運用できれば、月次の経理作業が大幅に効率化されます。
インボイスはインボイス制度わかりやすく、確定申告はフリーランス確定申告完全ガイド、お金は個人事業主のお金の教科書を参照してください。
会計ソフト比較はfreee vs マネーフォワード比較、契約書はフリーランス業務委託契約書、ファクタリングはラボル使い方ガイドで扱っています。
出典・参考資料
- 国税庁「インボイス制度・適格請求書」
- 国税庁「電子帳簿保存法」
- 中小企業庁「フリーランス・トラブル110番」
- 各会計ソフト「請求書発行サポート」
- 日本税理士会連合会「請求書発行ガイド」

